旅行

9日間の海外旅行を前提としたルート(コース)設計案(一部感想付き)

日本でビジネスをしている人が少し長めの旅行を考えるとき、勤め人であっても私のような自営業者であっても、土日を両端として中間の5日間の平日を休暇とした9日間の休みというのが現実的にMAXなのではないでしょうか。私も9日間を前提として、多くの旅行を考えてきました。そこで、9日間を前提として海外旅行を設計する場合、どのような旅行が考えられるのか、実際に旅してきた感想や思案中のルートをご紹介しますので、私と趣味の合う方はご参考にしてください。

私の嗜好

私の旅の嗜好は、以下のようなものですので、これらの点が「全く違うよ」という方にはご参考にならないかと思います。

  • できるだけ効率的に多くの都市や遺跡に行きたい
  • ヨーロッパや中東が好きで、自然よりも文明を見たい
  • 遺跡や歴史的建造物などの過去の遺産だけではなくて、食事や飲みなども含めて現在の文明のあり様も見たい
  • 移動中の車窓からの風景も楽しみの一つなので、できるだけ陸路で移動したい(特に鉄道での移動が好きで、高速鉄道の技術にも興味がありますが、鉄オタではありません)

一般的な結論

これらを前提として、いろいろと考え、調べ、試行してみた結果として、現時点では以下のことが一般的に言えるのではないかと考えています。あくまで私と同じ嗜好を持たれていることが前提ですが・・・

  • 同じ都市に戻るようにルートを設定することは9日間の旅では効率が悪い。同じ航空会社が就航している2都市を始点と終点にすれば、航空券の価格は同一都市の往復の価格と殆ど変わらない。
  • 関東と関西の人であれば、カタールやエミレイツ、ターキッシュなど中東系の成田/羽田/関空を深夜に出発する便で金曜日仕事を終えた後に出発すると、仕事で疲れているのですぐに眠れるとともに、朝~午前中に中東や欧州に着けて効率がよく実質10日間の日程のように使える(しかも価格が安く、中東のハブ空港が快適、ただやはりドバイは遠いです。できればイスタンブールで乗り継ぎたい。イスタンブール新空港に期待。)。
  • 陸路は車窓が楽しめてよいが、全てを陸路や船としなくてもよく、効率が上がるのであれば飛行機での移動も検討すべき。
  • 東欧の都市間では鉄道の本数が少なくて鉄道では移動しにくいためバスでの移動を発想しがちだが、夫婦やグループで行くのであればハイヤーの利用が効率的なので検討すべき(特にバルカンや更に東側)。ハイヤーだと途中の街や遺跡に寄り道できるため、それをドライバーに提案してもらうとよく、それこそがバスとの違いになる。一般的に旧社会主義圏の人は好意的(例外もあるので注意は必要)。ドライバーは多くの観光客から観光情報を聞いているので、英語が堪能ならガイドになってくれる場合もある(本来期待されている役割ではないので、当然のようにガイドを要求しないでください)。
  • 国境を超えるように設計した方が多様性が生まれるのは当然だが、ラテン/ケルト/ゲルマン/スラブなど異なった民族、ローマ文字/キリル文字/アラビア文字のように異なった文字の地域を1つのルートに入れ込むと変化に富んだ旅を楽しめる。
  • エイビーロードなどを通じて販売されている飛行機と宿泊のパッケージ商品を買うのもよいが、当然ながら予約が楽である分設計の自由度はない。最近ではSkyscannerやOmio、DB Navigator、ホテル予約サイトなどのツールが発達しているので、予約する過程も旅好きなら楽しい。経済性はほとんど変わらないか、自分で予約した方が経済的。特に夏や正月のピークシーズンではバラバラに予約した方が安い(パッケージ事業者はピーク時にぼっているように思う)。ただ、忙しい方にはパッケージは楽なので、いいルートが見つかれば、活用するのは全然ありだと思う。
  • 飛行機や船を予約する場合には、旅行会社ではなく航空会社や船会社直の方が、時刻変更やキャンセルをSMSなどで直接知らせてくれるので、何かと便利。恐らくamadeusの基本機能にSMS通知があるのだと思う。数百円や千円程度の違いならOTAを通さない直予約の方がいい。OTAを通すと航空会社より多少安くても変更手数料や保険などで儲けようとしてくる可能性大。
  • 効率的に旅する場合、ホテルのロケーションは極めて重要。駅やバスターミナル近くに予約して、荷物をホテルに預けて旅するのがよく、清潔で安全でさえあれば、グレードや価格は考慮するものの、多少これらが劣っても駅近のホテルが圧倒的によい。(正直、民泊に疎いので、民泊との比較はできないです)。駅付近は、経済性が高く、地元文化あふれる食堂も多く、ジモピーとの交流も楽しい。

経験したルートと簡単な感想

以下は、実際に私が行ったことがある9日間ルートです。
若い時に、インド、スペイン、フランス、イタリア、トルコ、ヨルダン、イスラエル、エジプトなどを旅してしまったので、東欧中心のルート設計になっています。

  • プラハ→[鉄道]→ウィーン→[鉄道]→ブダペスト
    黄金ルートです。それぞれが異なった民族であることから、文明のあり様も異なります。チェコはスラブですし、ハンガリーはマジャールなので、西欧に入り込んだこれらの民族の最西端、西欧化されたスラブやマジャールの様子を見るのが素敵です。ハンガリーのマジャール人は東洋系民族なので、ご飯も日本人に合うと思います。
  • ダブリン(キルケニー)→[飛行機]→ロンドン(ケンブリッジ、グリニッジなどイングランド周辺都市)
    これも王道です。ケルトからアングロサクソンということなのですが、それ以上にアイルランドの鄙びた雰囲気から超絶都会のロンドンへという対比が楽しいです。ダブリンとロンドンは、札幌と東京ぐらい違います。アイルランド内はレンタカーで移動するのがよいと思います。
  • ワルシャワ→[鉄道]→ベルリン→[鉄道]→ハンブルク→[鉄道]→コペンハーゲン(マルメ・ルンド)
    3か国(スウェーデンを併せると4か国)、全然違った国を楽しめます。ワルシャワは戦争で破壊されていますが、歴史的建造物はよく復元されていますし、旧社会主義国の面影を色濃く残しています。最近は、ポーランド航空が東京に就航して、しかも破格に安いので、考えてみるとよいルートだと思います。
  • ティラナ→[車](シュコダル)→ポドゴリッツァ→[車](コトル)→ドブロブニク→[車](モスタル)→サラエボ
    人種のモザイクであるバルカンの歴史や現状を楽しめます。アルバニアは少し前までは北朝鮮のような閉ざされた国でしたが、国民の抑圧に使った諜報手段の展示を観光資源化しています。モンテネグロ国境付近のアルバニア領シュコダルには山城があり車の旅でしか行けませんが眺めがよく、古城の風情を味わえます。クロアチアのドブロブニクが素晴らしいことは有名ですが、その近くのモンテネグロ領のコトルは、深い湾の中にあり、海が凪いでいることもあって背後の山に登ると極めつけの絶景です(このブログ冒頭の画像はコトルです)。ボスニア・ヘルツェゴビナでは、キプロスのような柵や塀があるわけではないですが実は2つの国に事実上分割されているという現状を目の当たりにできます。サラエボがどのように戦場になったかを見ることができますが、その一方でサラエボの観光地化は着々と進んでいます。
  • ミュンヘン→[鉄道]→ストラスブール→[鉄道]→ハイデルベルク→[鉄道]→フランクフルト→[鉄道](ケルン)→ブリュッセル(ブルージュ)→[鉄道]→アムステルダム
    アルザスやラインラントなど、ドイツともフランスともつかない、古くは中部フランク王国の名残の地帯を旅するルートです。単なるドイツとフランスの混ざり合いが面白いというだけではなく、ブリュッセルからアムステルダムに至ると、むせ返るような大麻の臭いや売春などの極めつけの自由を目の当たりにします。スペイン領だった過去、権威との距離感から来る自由、それを背景とした経済的繁栄、さらにそれを背景とした世界進出、その先に最果ての地である日本への到達。このパターンは日本から見ると丁度江戸時代という時間的ギャップを経て再度アメリカによって地球を反対回りで再現されます。NYがかつてニュー・アムステルダムと呼ばれていたことの奇遇さや、これが石原莞爾らが旧満州に託した夢の原型だったのだろうかなどと、いろいろと考えさせられます。仕事などでミュンヘンに行ったことがある人は、チューリッヒを起点にライン川を下っていくと中部フランク王国の旅としては完璧かもしれません。
  • リスボン→[鉄道]→コインブラ→[鉄道]→ポルト→[鉄道]→リスボン
    リスボンは、物価が安く最近旅行者の人気急上昇なのですが、この旅のハイライトはリスボンよりもむしろポルトにあります。ポルトには、この国が世界の半分を支配していた頃の富の残骸が、これでもかというほど残っています。ブランデーを添加したポルトワインが有名なのですが、これは日本酒へのアルコール添加が既に江戸時代から行われていたように船積みのために発酵を止めることが目的であり、この国が大陸にありながら生粋の海洋国家であるということを見せてくれます。ポルトのワイン業者の多くは英系なのですが、これはこの国がスペインに対抗するためイギリスと長らく事実上の同盟関係にある証拠でもあります。ゴアとボンベイ、マカオと香港のように、2つの国がお互いに寄り添いながら世界進出してきた歴史を、ここでも確認できます。コインブラは、ハイデルベルクやルンドのような大学町で、のんびりするのに最適です。9日間で1か国の国内を回ると、超のんびりなのですが、同じ出発点に戻るのはちょっと勿体ないかなと思ってしまうのは私の病気でしょうか。
  • タシケント→[飛行機]→ヒバ→[鉄道]→ブハラ→[鉄道]→サマルカンド→[鉄道]→タシケント
    ウズベキスタン堪能のルートです。中央アジアは5か国あるのですが、遺跡はウズベキスタンに集中しています。ティムール朝がサマルカンドに成立していたときは世界の中心でしたが、古くはアレクサンダー大王のマケドニア、モンゴル帝国、アラブのウマイヤ朝、最近では帝政ロシアの支配を受け、最近までソ連邦の一部だったので、世界中の文明の片鱗をこの国で観ることができます。なお、私は5日間で回らなければならなかったのでヒバには行けていません。この国ではキリル文字を使っていましたが、ローマ字化が進行して現在はもうローマ字優性ですが、依然として混在しています(タジク以外の4か国はトルコ系民族の国で、ローマ字化は西欧化というよりも、恐らくトルコ化と呼ぶべきものです)。

将来に向けて現在研究中のルート

  • モスクワ→[鉄道]→サンクトペテルブルク→[鉄道]→ヘルシンキ→[船]→ストックホルム
    2020年夏の旅行として鉄道から船まですべて予約していたのですが、コロナで行けなくなってしまいました。将来絶対に行きます。
  • タリン→[バス]→リガ→[バス]→ビルニュス→[鉄道]→ミンスク→[鉄道]→キエフ
    バルト3国と古いスラブを満喫。陸路でのベラルーシ入国にはビザが必要ですが、東京で取得していけばいいと思います。観光ビザじゃなくても、通過ビザで十分だと思います。ベラルーシ、ちょっといま危ないですが。
  • エレバン→[バス]→ティビリシ→[バス]→バクー
    エレバンの前にテヘランから出発するルートもありかもしれません。アルメニアとアゼルバイジャンを直接行き来できないことに注意が必要です。そのため、ジョージアから出発するのは、非効率だと考えています。ですので、トルコ領からジョージアへ入るのは、可能ですが、時間に余裕のある人以外はやめたほうがいいかと思います。
  • ベイルート→[飛行機]→ラルナカ(ニコシア)→[飛行機]→マルタ→[飛行機]→シチリア島→[飛行機]→チュニス
    様々な文明が交流する地中海を満喫。長いので、前後に2回にわけなければならないかもしれません。現在ベイルートの治安が極度に悪化しているので、まずは後半からかもしれません。シチリアは、古代ギリシアの植民地であり、カルタゴ領からローマ領へと変遷して遺跡も沢山あり、時間をかければいくらでも見どころがありそうです。
  • テヘラン→[バス]→イスファハン→[バス]→シーラーズ→[飛行機]→ドバイ
    イラン堪能のルートですね。イランから直接帰らず、ドバイで酒を飲んで帰らないと収まりがつかない、と言う意味でドバイ。エミレイツでイラン往復を買えば、シーラーズ→ドバイは別に買わなくても大丈夫かと思います。

他にも、残りのバルカンであるリュブリャナ→ザグレブ→ベオグラード→プリシュティナ→スコピエ→ソフィアや、ドレスデン→ヴロツワフ→クラクフ→リヴィヴ→キエフ(交通に少々困難を予想)なども研究したいと思っています。

以上です。皆様の体験されたお勧めルートをご教示いただければと思います。

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